
先日(2016年4月21日)、アメリカの有名な男性歌手、プリンスが急死しました。
若い方の中には、なじみが無い人もいるかもしれませんが、一時はマイケル・ジャクソンと並び称されるスーパースターでした。
プリンスほど、謎につつまれた大スターもいないことでしょう。
彼は商業主義的な音楽を嫌い、独自の道を自分の才能のみで、突き進んでいったアーチストです。そのため、一般の人々の中での人気は、じわじわと衰えていきましたが、彼の姿勢に共感する人々の間では、まるで神のように崇められるようになりました。
そんな突出した存在であった彼の死を、嘆いたファンも多かったことでしょう。
プリンスは、「中性的」なイメージで売り出していました。そんな彼のシァンボル・カラーは「中性色」の紫(パープル)です。
「パープル・レイン」という映画に出演し、テーマ曲も作って歌って、スーパースターの地位を不動のものにしました。
「紫は高貴な色」と表現されることが多いのですが、それは、うわべのお話。例えば、紫は宮廷の位階の色である当色(とうじき)において上位の色であり、僧侶の最高位を表す紫袈裟は勅許がなければ着用を許されなかったほどです。
これらは、いわば文化のお話しです。
本音で、心で、紫を紐解くと、「紫ほど倒錯した色はありません」。
紫は赤と青を混ぜた色、暖色と寒色という正反対の性質を混ぜて出来た色で、正解のない不安定さを持った色です。
そして男なのか女なのか、大胆なのか繊細なのか、最も謎めいたミュージシャン、プリンスの才能と魅力を、一層引き立てたのでしょう。
