
NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で「青鞜」という雑誌が登場します。
女学校に通う主人公(高畑充希)が、女性教師(片桐はいり)から手渡された1冊の本。
それは、黄地に黒で「青鞜」と描かれたアールヌーヴォー風デザインの雑誌でした。1911年(明治44年)に創刊された、女性による女性のためのその文芸誌は、
「元始、女性は太陽であった。真正の人であった。今、女性は月である。他に依って生き、他の光によって輝く。病人のような蒼白い顔の月である。私共は隠されてしまった我が太陽をいまや取戻さねばならぬ。」
の平塚らいてうの一文で始まります。
ここであげられた、他の光とは太陽の光、つまり男性のことですね。当時、婦人には参政権は無論なく、男性に人生を委ねる生き方しかありませんでした。
女性は、本来は太陽であった。この一文が、主人公常子に、新しい世界を見せてくれました。
さて、「青鞜」とは?
青鞜は「せいとう」と読み、青い沓(くつ)のこと。これは英語の”Bluestocking(ブルーストッキング)”の和訳です。
ブルーストッキングは、教養が高く知性を尊重する婦人達のグループのシンボルでした。
では、なぜ女性の自立の象徴が青いストッキングなのか?
次のような逸話が残っています。
イギリスのある知的な、女性も参加できるサロンに、ある婦人が招待されました。そのご婦人は「私は正装を持っていないので、招待は辞退します」と言ったところ、「今、あなたがはいている毛の青い靴下のままで大丈夫です」と招待側が答えた、というのです。
ここの「青い靴下」とは普段着、という意味です。
「青」は色の中で最も「知的な香りのする色」です。
身分や形式が重要視された時代に、因習にとらわれず、自分の頭で物事を考えた、教養の高い女性たちの象徴となった「ブルーストッキング」。
羊毛であるという実用性の他に、青の持っているイメージが関係して生み出された言葉でしょう。
青には赤の華やかさはありません。
橙のように出しゃばりではありません。
黄色の明るさもありません。
緑のナチュラルさもありません。
紫の妖艶さもありません。
青は控えめてありながらも、思慮深く、自分の内面を見つめる聡明さがあります。
賢い色といったら、青に勝る色はないでしょう。
制服に青が多く、一昔前の就活には、全員揃って、濃紺(暗い青)を身にまとっていたのも、こうした青のイメージを無意識に取り入れていたのでしょう。
あなたも、知的に見られたい時は青。ただし、少し「堅物」な印象も否めないません。