
男子フィギュアスケートの羽生結弦選手が、圧巻の演技で、人々を魅了しました。
タイトルは陰陽師『SEIMEI』
「和」をモチーフに、安倍晴明をイメージした演目だそうですね。
さて、皆さんは「和」をイメージする色といえば、何色を連想しますか?
苔寺のような苔色(こけいろ)?
神社の朱色?
神主さんを連想する真っ白?
人それぞれ連想する色があるでしょうが、
安倍晴明or平安時代といえば、多くの人が「紫」を連想するのではないでしょうか?
羽生結弦選手の衣装も紫(正確には藤紫)でした。
源氏物語の作者紫式部、全盛を極めた藤原氏の藤(青紫)など、平安時代=紫=雅び
というイメージは誰もが連想しやすいパターンです。
そう言えば、スカイツリーの照明の色も「雅び」をイメージした紫(青系の紫)ですね。
しかし、なぜ、「平安時代=紫=雅び」なのでしょうか?
「色彩文化史」的にそして「色彩心理」的にも理由があります。
①ます色彩文化の面では、
紫はもっとも染色が難しく、高価な染料だったため、貴族が、紫の色を独占しました。源氏物語の作者紫式部、若紫、藤壷など、連想する色は紫のオンパレードです。
このように、色を得る希少性から貴族的な平安時代=紫色となるのです。
②次に色彩心理的には、
紫はもっとも動きの無い色です。なぜなら、「紫=赤+青」
前進しようとする「赤」と、後退しようとする「青」が混色されてできる色なので、前にも後ろにも進めず、じっと止まっています。
「雅び」であるためには、上品である必要があります。「動きのある色はNG」です。
もっとも動きの無い色こそ、もっとも上品な色なのです。
以上のことから、
本来はスポーツという【最も動きのあるものの色としては紫色は不似合いな色】なのですが、
フィギュアスケートという「魅せるスポーツ」であるからこそ、妖精のような羽生選手だからこそ、そして「白との組み合せ」だったからこそ、最高の取り合わせなのです。
因みに源氏物語における「紫+白」の配色は、
光源氏にもっとも愛され、源氏物語の陰の主役でもある「明石の君」の色彩です。
慎ましく、大人の女性明石の君にぴったりの色彩として紫式部が選んだのでした。