コラム「色彩用語①」色陰現象

色彩検定でも質問される「色陰現象」は、少々わかりにくい色彩用語の1つです。

しかし、その本質を「光と色の革命児」と言われたフランスの印象派の巨匠「クロード・モネ」が教えてくれています。

 

 

つまり、色陰現象とはコレのことだったのです。

色陰現象

⇧クロード・モネ作ロンドンの国会議事堂 太陽の効果」1903年制作、ブルックリン美術館(ニューヨーク)所蔵。 モネ63歳の時の作品です。

 

 

霧の街、ロンドンの輝く茜色の夕陽。その鮮烈な夕陽に照られて、国会議事堂が青く照らされた光景です。

これは、モネが、一日中観察し、光とともに変化するロンドンの象徴、国会議事堂の姿を描いたのです。

 

では「なぜ国会議事堂が青い?」

 

 

太陽の茜色が国会議事堂に当たります。

私たちは、オレンジ色の灼熱の色の元で、その「陰」のように、国会議事堂を見ることになります。

彩度の高いオレンジに囲まれた国会議事堂を見る

橙色の補色(つまり青色)がぼっと見えている中で

国会議事堂を見つめる

国会議事堂が青っぽく見える。

 

のです。つまり、色陰現象の本質は、私たちの目の補色残像現象です。

 

 

私たちの目には

橙色を見ていると、その正反対の性質の青が

赤色を見ていると、その正反対の性質の青緑が、

黄色を見ていると、その正反対の性質の青紫が、

頭の中で見える機能を持っているのでしたね。それが補色残像です。

 


このように 

モネが描きたかったのは、実物の色ではなく、光の中で揺れ動く色。

 

茜色の太陽が与えてくれた灼熱の色彩が、色陰現象という目の錯覚と相まって作り出せれる色彩世界を描いたのです。

 

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最後に色彩検定の公式テキストの「色陰現象」の項目を抜粋します。

「グレイは、周囲を有彩色に囲まれると、有彩色の心理補色の色みを帯びて見えます。これを色陰現象といいます」です。

まさに、モネの世界です。

色陰現象
クロード・モネ作「ヴェニス」

こちらはモネの描いたイタリア・ヴェニスの風景です。こりらも、ヴェニスの聖堂が、オレンジ色の光の陰のように浮かびあがっていますね