色彩世界の大変革を成し遂げたウィリアム・パーキンとモーブ

ウィリアム・パーキン 合成染料 モーブ
モーブの発見者ウィリアム・パーキン

 

 

 

 

 

ウィリアム・パーキン(1838-1907)は、世界で初めて合成染料を発見した人物です。

まだ18歳(1856年)のとき、色彩史に残る大事件を成し遂げました。

 

ロンドンの王立化学大学の助手として、大学の休暇中、マラリアの特効薬キニーエの合成法を実験していました。

その最中に、誤って紫色の副産物を作ってしまいます。

 

パーキンは絵画や写真に興味があったため、この紫色の結果に強く引かれ、師匠ホフマンに内緒で実験を進めました。

 

 

そして、副産物として得た紫色が、絹を染める能力があり、耐候性もあり、紫色の染料になることに確信を持ったのです。

 

 

 

当時のヨーロッパでは紫色の染料は極めて高価な貝紫(かいむらさき)しかありませんでした。

その大変高価な紫色を実験室で、作り出せたことに興奮したパーキンは、特許を取得し、ホフマンの反対を押し切って1857年にこの染料を製造する工場を設立します。

 

 

1862年にはロンドン万国博覧会においてヴィクトリア女王は、パーキンが合成に成功したモーブの絹のガウンをまといました。短期間の間に、パーキンは科学者としての能力のみならず、実業家としても大成功を収めたのです。

 

 高貴な貝紫でなくても、簡単に鮮やかな紫色を得られることを実証したウィリアム・パーキンは、

「誰でも、自由に色を選択できる時代」への転換に貢献しました。

 

(ただし、間も無く、同じようなアニリン染料であるフクシンが直後に発見されました)。

モーブ パーキン 合成染料
モーブで染められた絹が同封されているパーキンの息子の手紙
合成染料モーヴ(紫色)
合成染料モーヴ(紫色)
京都服飾文化研究財団
京都服飾文化研究財団
合成染料自体が目新しく、当時、ブルジョア女性たちの心を捉えました。

パウルクレーを知っていますか。

パウルクレーについて、次のどれでしょうか?

 

1.画家である。

2.音楽家である。

3.バウハウスの先生である。

 

 

 

 

 

 

 

1.2.3の全て正解。

 

パウルクレーは、スイス出身のドイツ人画家です。

クレーは画家であり、音楽家であり、バウハウスでも教鞭をとりました。

 

 

幼い頃より、ヴァイオリンに親しみ、その腕前はプロ級だったと言います。

特に、音楽性を絵画に取り込んだ絵画を多くのこしています。

 

 

 

 

 

ヴァイオリニストでもあったクレーは、ヴァイオリンを弾きながら、その弓の先端が動く軌跡に興味を持ったり、楽譜を図形のように捉えるなどしています。

クレーは、これらの音楽的体験を視覚化し、「音楽を描いた」と言われています。

曲を弾きながら、幾何学的な画面構成(コンポジション)を探求したのです。

 

パウルクレー「パルナッソスに」 1932年
パウルクレー「パルナッソスに」 1932年

新印象派の画家スーラやシニャックの「点描画」が、光の分解に主眼を置いているのに対し、クレーの点描画は、イタリア旅行で見た「モザイク」に影響を受けています。

小さな点の集まりで出来た太陽(1個の橙色の丸)は、画面全体に点在し、統一された色彩になっています。

パウルクレー「片翼の英雄」1905年
パウルクレー「片翼の英雄」1905年

音色とは「ねいろ」と読み、音と色との間には、何がしらの関係があるのでしょうか?

 

私たちの日常生活でも「黄色い声」という表現がありますね。甲高い子供や女性の声を形容する際に「黄色い」という色名が用いられています。音の高さと、明度が何がしらの関係性を感じさせますね。

 

 

もっとも「不適切な色」平昌オリンピック

平昌オリンピックの紫色

平昌オリンピックが終わりました。
日本選手の大活躍とともに、フェアな闘いぶりに感動しましたね。
さて、カラーリストとして気になった色彩は、フィギュアスケート、スピードスケートの会場の「紫色」です。
「紫」は色の中でも、最も使い方が難しく、はっきり申し上げて「本体、紫色はスポーツには適さない色」です。


なぜならば、紫色には「もっとも動きがない色」であり、
紫色は「もっとも病的な色」だからです。

進出色の赤と後退色の青を混色してできた紫色は、前にも後ろにも進めずに、止まった印象があり、昔からスポーツには使用されない色とされてきました。
しかし、最近ではサンフレッチェ広島や京都サンガ F.C.のユニフォームなどにも使われています。

一方、人は身体を病んだり、心を病んだりすると、「紫色」に惹かれるというのも、色彩心理の基本です。

本来はスポーツに適さない色でも、それを採用する人々の心が病んでくると、次第にスポーツ製品にも紫色が増えてくるでしょう。

プロスポーツに採用されはじめると、つい子供の用品にも取り入れてしまいかちですが、
紫色は最も病的な色であり、「元気いっぱいの子供」にも適さない色であることを心に留めておきましょう。

コーヒーブラウンvsココアブラウン

「茶色」には、さまざまな色があります。

「お茶」自体にも、ほうじ茶、煎茶、緑茶、抹茶、紅茶とさまざまな色がありますが、大雑把には、暖色系の暗い色全般をさします。

 

江戸時代には「百茶百鼠」と呼ばれる、多くの茶系、グレイ系の色が流行しましたが、

「◯◯茶」とは、暖色系で、低彩度や低明度の色、

「◯◯ねず」とは、寒色系あるいは無彩色で低彩度や低明度の色ととらえることができます。

 

 

さて、英語のブラウンですが、茶色ほどは色の範囲が広くはなく、

ブラウンは橙系の暗い色の総称」です。

 

ことに色調(トーン)について

コーヒーブラウンとココアブラウンについて考えてみましょう。

 


野獣派の好んだ色彩

アンリ・マティス「緑の筋のあるマティス夫人の肖像」1905年
アンリ・マティス「緑の筋のあるマティス夫人の肖像」1905年

この作品は、荒々しい色彩が大胆に配置された、野獣派(フォーヴィズム)時代の代表作です。

顔は左右の色が異なって、それぞれ背後の色面と呼応しています。

向って右側の顔は赤く、背後(左)の赤と対応、

顔の中心の緑色の筋は、背景や顔の赤と補色の関係にあるのです。

大胆な配色ながら、これらは決して”感情的”ではなく、”知的”に計算されている点が注目に値します。

 

しかも、これらの非現実的な色彩が、風景や静物ではなく「人間の顔」に用いられたことが衝撃的なのです。

 

顔の中心の緑は、背景の強烈な配色と均衡を保っていて、マティスが人物と背景を同等に扱った事がわかります。

 

 

黄色と青は補色関係。

 

赤と緑は補色関係。

 

顔の色彩、衣装の色彩、背景の色彩がそれぞれ対応しています。

物に特有の色彩という観念から離れ、色彩そのものが対応しあい均衡を保っているのです。

 

 

 ンリ・マティスHenri Matisse 1869-1954年) はフランスの画家。20世紀に流行したフォーヴィズム(野獣派)のリーダー的存在であった。

 

「色彩の魔術師」とも呼ばれ、パプロ・ピカソとともに、20世紀を代表する大画家である。

動物と色名(アイボリーやベージュ)

記憶色とは

写真やモニターの色を見たときに「色が違ってる!」と感じたことはありませんか。自分の「記憶の中にある色」と異なっていると判断した時、色が違っていると思うのです。

一般に、物の色は、白色光の下で見た色を記憶しています。記憶に基づいた色なので「記憶色(きおくしょく)」と呼んでいます。

 

 

Q.1

さて、記憶色を以下の中から選びましょう。

 

a.土の色

b,空色

c.肌の色

 

 

A,1

a.土の色 b.空色 c.肌の色のいずれも記憶色。

頭の中で、記憶している色ならばすべて、記憶色です。

人の顔色や果物の色、植物の色、土の色、空の色など、記憶色はたくさんあります。

 

 

Q2.

記憶色と実際の色の違いは、

a.同じである。

b.実際より高彩度になりやすい。

c,実際より低彩度になりやすい。

 

 

A.2

b..実際より高彩度になりやすい。

 

記憶色は、私たちの記憶の中で「変化する」ため、実際の色とは違っていることが多いものです。一般に実際の色よりも色みが強く(彩度が高く)記憶されています。

ただし、肌の色は例外で、実際よりも明るく、彩度は低く記憶されているのです。つまり、実際よりも色白に記録されているというわけです。

 

実際の空の色よりも、高彩度の青、低明度の青であるときに「空色らしい色」と思う。

 

ルノワール画
ルノワール画

肌の色は、他の記録色と異なって、実際の肌の色よりも、低彩度の色、高明度の色であるときに、肌色らしい色と思う。

 

そのために、ファンデーションの色は、実際の肌の色よりも明るく(高明度に)作られるのです。

ヨハネス・イッテン①絵画と色彩

 

「ヨハネス・イッテン」という名前を知っていますか?

生涯を通じて色彩の研究に尽くした人物です。

彼の「色彩と芸術」に総括されている色彩理論は、世界中に広がりました。

今回は、その一部を抜粋します。

 

 

色彩と芸術(序)

私は、色彩美術の問題に興味をもつすべてのひとびとに、参考になるような乗りものを作ろうと考えている。(略)単に客観的な色の原理や法則を解説するだけではく、色彩についての批判鑑賞というような主観的な分野についても研究し、探求をすすめようと思う。(略)

 

 

□ジョットは、形と色彩で人物の特徴を明確に描いた最初の画家たちであった。

 

ジョット「ユダの接吻」1304年
ジョット「ユダの接吻」1304年

 

 

 

□15世紀前半においてヤン・ファン・エイク兄弟は、表現すべき人物や静物を天然色で再現する模様の様式を開拓しだした。彩度と明度の調子を通じて、これらの天然色は、さながら目にみる自然の色のような色彩をもつ実際的な像を描きだした。

色彩は自然物をありのまま表現する手段になった。1434年にはじめてゴシックの肖像画を仕上げた。

 

ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻像」1434年
ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻像」1434年

 

 

 

□フランチェスカは、バランスのとれた補色ではっきりした輪郭と、明確に表現された面で人物を描いた。

 

 

フランチェスカ「モンテフェルトロの祭壇画」1472年
フランチェスカ「モンテフェルトロの祭壇画」1472年

オレンジと青の補色色相や、赤とピンクの同一色相など、明快な配色が繰り返されている。

 

 

ブラウン物語『あなたはコーヒー派?ココア派?』

コーヒーブラウンとココアブラウンの違いは?

さて、コーヒーブラウンと、ココアブラウン、どちらが好きですか。

そもそも、どう違うのでしょうか?

ブラウン(茶色)をこの2つのタイプのブラウンに大別することもできます。

 

さて、問題です。

 

[問題A] 正しい文に◯、誤りの文に×を付けましょう。

1.ブラウンは暖色である。

2.ブラウンは寒色である。

3.ブラウンは中性色である。

 

 

 

[答えA]

1.ブラウンは暖色である(◯)

2.ブラウンは寒色である(×)

3.ブラウンは中性色である(×)

 

 

[解説A]

ブラウンは暖色系である。ブラウンの底にある色は「橙色」です。

橙色を中心に、赤から黄にかけての暖色系が暗くなった色を、私たちは「ブラウン」とか「茶色」と呼びます。

 

 

 

[問題B] 正しい文に◯、誤りの文に×を付けましょう。

1.ブラウンは純色である。

2.ブラウンは明清色である。

3.ブラウンは暗清色である。

4.ブラウンは中間色である。

 

 

 

[答えB]

1.ブラウンは純色である(×)

2.ブラウンは明清色である(×)

3.ブラウンは暗清色である(◯)

4.ブラウンは中間色である(◯)

 

 

[解説B]

ブラウンは、暖色系の暗い色の総称です

 

暗いとは、黒い要素を含んでいるわけですが、dkトーンのように黒い要素のみを持つ「暗清色」と、

gトーンのようにグレイ(白+黒)の要素を持つ「中間色」の2つのパターンがあります。

 

■橙黒=コーヒーブラウン

 

 

 

 

 

 

 

コーヒーブラウンは、「黒だけを含む暗清色」です。

つまり、白を含まないので、かちっとしたブラウンになります。

 

 


■橙グレイココアブラウン

 

 

 

 

 

 

 

ココアブラウンは茶色のなかでも、グレイっぽく見える。つまり中間色の(グレイッシュな)ブラウンです。

 

この「グレイシュ」「グレイみの」は色のイメージおいて、しばしば大きな意味を持ちます。色は「グレイ」を含むと、途端に「上品に」なるからです。

 

上品に見せたいならココアブラウン、かちっとハードに見せたいならコーヒーブラウンになるでしょう。

 

因みに、PCCS(日本色研配色体系)の色記号では、

コーヒーブラウンはdk5(暗い橙)、

ココアブラウンはg2やg4(グレイみの赤みのブラウン)

で、色相もココアブラウンの方がやや赤みがかっていると定義されています。

 

コーヒーブラウンの中心は橙色、橙の色相は最もエネルギッシュで健康的な色相です。それに対して、ココアブラウンの中心は赤です。赤は健康的なイメージが減じて、女性らしさがアップします。

 

海老茶やボルドーなど赤茶が女性らしい茶系なのはそのためです。

 

配色 暗清色
コーヒーブラウンの着こなし

コーヒーブラウンは乾いた印象の茶色。上の写真では、ブラウンとの組み合わせが定番のベージュやアイボリー(★)を敢えて避けています。

ブラウンと黒の組み合わせで、粋な大人っぽさを演出しています。

暗い色だけなので重くならないように、下半身のシルエットをすっきりまとめています。

 

★ブラウンとベージュ、アイボリーは色相に共通性のあるトーン・オン・トーン配色になり定番。


配色 中間色 ブラウンの着こなし
ココアブラウンの着こなし

ココアブラウンはグレイの要素が入るため、ブラウンの中では、上品さや、女性らしさが演出しやすい色になります。

中間色(グレイを含んだ色)は上品さに必須の色調。

PCCSではgトーン(グレイッシュトーン)が中間色になります。

スカートのヒョウ柄を、gトーンの中におさめることで、下品になっていません。

 

 

 因みに、パーソナルカラーという似合う色診断では、コーヒーブラウンは秋系、ココアブラウンは夏系に分類されています。

周りの茶色を「暗清色」と「中間色」に分類してみましょう。

 

gトーンの茶系は、すべて中間色。

dkトーンの茶系は、すべて暗清色。

dkgトーンの茶系は、本来「暗いグレイみ」なので、グレイの要素を帯びた中間色のはずですが、暗過ぎてグレイの要素を感じにくいため、暗清色のような印象があります。

dkgトーンの色は全般に、「黒」に近い、黒の代わりになる定番色として、誰でも着こなすことのできる、重宝な色調です。

 

 

ブラウン物語②『セピア色の思い出』

茶色にはさまざまな色があります。江戸時代には、微妙に異なるいろいろな茶色を百茶百鼠(ひゃくちゃひゃくねず)と呼びました。

百は、たくさんの〜という意味。茶色や鼠色の微妙な色の差を楽しみ、粋に着こなした江戸文化の高さを象徴する言葉の1つです。

 

 

さて、茶色・鼠色は以下のように定義することができます。

◯茶色は、暖色系の黒を含んだ色

◯鼠色は、寒色系〜無彩色の黒を含んだ色

 

色みの弱い色で、暖色系が茶系、寒色系が鼠色と捉えるのです。

 

 

 

セピア色
セピア色は色褪せた写真のイメージ

 

 

[問題A]

 

セピア色についてJISで定義された慣用色名は、どれでしょう。

1.ごく暗い赤みの黄

2.うすいベージュ

3.くすんだ赤みの黄

 

[答えA]

 

1.ごく暗い赤みの黄

 

[解説A]

セピア色は「セピア色の写真」という表現で誤解されやすい色名の1つです。実際には黒に近いほどの暗い茶色です。

 

 

 

 

[問題B]

 

セピア色についてマンセル値は、どれでしょう。

10YR 3/2.5

10YR 7/2

10YR 3/12

 

[答えB]

 

10YR3/2.5

 

[解説B]

マンセル表記は 色相 明度/彩度 です。

10YRは、YR(黄赤)を示しています。

明度3は暗めの色。黒=明度1 白=明度9

彩度2.5は無彩色に近い。彩度0=無彩色

 

 

 

[問題C]

 

セピアの本来の意味として正しいのはどれでしょうか。

 

1.セピア=思い出の

2.セピア=古新聞のインクの

3,セピア=イカスミのような

 

 

 

[答えC]

 

3.セピア=イカスミのような

 

 

 

セピア イカスミ
イカ墨=セピア

 

セピアとはイカスミのことです。

 

古くから、耐水性のあるイカ墨がインクや染料として使われ、近世に化学的に合成した顔料が西洋に広まり、やがて、その顔料の色を指す言葉として『セピア』が定着しました。

 

 

茶色の基準は、dk5=暗い橙

焦茶の基準は、dkg6=かなり暗い橙

 

黒に近い茶色で「セピア」も同じような色です。

 

 

 

セピア 新聞インク
セピアは元々新聞のインク

 

19世紀末頃から、新聞や雑誌などの印刷にセピアのインクが使われるようになりました。初期のモノクロ写真が現像され始めたのもこの頃で、日光の紫外線などによって退色したインクの色みもセピアと呼ばれるように。「セピア調」という言葉は経年劣化した写真の色が由来します。

 

チョコレート色」も黒に近い茶色ですが、セピア色よりやや赤みが強いダークブラウンになります。

 

 

アダムとイヴの林檎は?

冬の果物の一つにリンゴがありますね。良くスーパーの店頭で見かけるジョナゴールドなど、冬の長い期間、新鮮な状態で販売される品種もあります。日本では「リンゴの色といえば?」という質問に、ほとんどの人が「赤」と答えますが、国によっては、リンゴといえば「緑」と答える人も多いようです。

 

アップルグリーン (apple green) とは、緑のリンゴに由来する色です。

色彩検定のテキストの解説によると、アダムとイヴのりんご、いわゆる禁断の実は「絵画作品では青リンゴに描かれているものが多い」とあります。この色名が使われ始めた17世紀頃も、青リンゴが一般的だったようですし、最近では、日本のスーパーでも、この「青リンゴ」も多数揃えていますね。

 

「えぇ!でも、なんで青リンゴなの?」と思った人は、色彩センスがシステマチックになっていますね。

JIS慣用色名のアップルグリーンを系統色名でいうと「やわらかい緑みの黄」、マンセル値は10GY 8/5 となっています。

つまり「緑みの黄」だから「黄色の仲間ですか?」ということになります。

日本語での色の呼び方の慣習は、黄色に少しでも緑の要素が入ると「青」と呼ばれることがあります。緑は青の範疇だからです。

PCCSでの9番(緑みの黄)からPCCSの20番(青紫)あたりを「青」と呼んで、少しも違和感がないのが日本の色彩文化です。だから「青りんご」といっても、ほとんどの人が違和感なく受け止めるのでしょう。

 

日本語での色の呼び方の慣習は、黄色に少しでも緑の要素が入ると「青」と呼ばれることがあります。緑は青の範疇だからです。

 

PCCSでの9番(緑みの黄)からPCCSの20番(青紫)あたりを「青」と呼んで、少しも違和感がないのが日本の色彩文化です。だから「青りんご」といっても、ほとんどの人が違和感なく受け止めるのでしょう。

卒業式シーズンに見る海老茶式部

卒業式シーズンになり、袴姿の女性を見る季節になりました。

花火大会、成人式、卒業式

の日本女性が和服に親しむ3イベントの中でも、

卒業式の袴姿は「教養のある日本の女性の凛とした美しさ」を象徴するものです。

 

そもそも女性の「袴」は椅子に座って、勉学に勤しむときに裾が乱れるという理由でした。

以下のような紆余曲折がありました。

1.着流しの着物は授業を受ける際、裾が乱れるとの理由で、男袴の着用へ。

2.袴は男性のものだと反対が多く、明治16年廃止。鹿鳴館(ろくめいかん)の影響などで洋装へ。

3.明治22年、国粋主義の流れから洋装廃止。再び、スカート状袴へ。

 

 

当時、華族女学校が採用していた紫色の女袴(ちょうちんハカマ、股がないスカート状の袴)の色を替え、明治30年代半ばに定着したといいます。


ちなみに、紫は当時華族が用いる高貴な色で、そのままでは畏れ多いことから紫はタブーとされ、それに代わる色として海老茶色が愛されました。

海老茶(えびちゃ)とは、伊勢エビの殻のような色を指します。それを

紫式部にひっかけて、「海老茶式部(えびちゃしきぶ)」と呼ばれました。

この配色は、上記の大正時代の袴と上下が逆になったような、定番の配色ですね。

例えば、臙脂色(えんじ、濃い赤系)の着物に、紺(濃い青)の袴を合わせるのは、色相に変化を持たせ、色調はいずれも、濃い、暗い色同士にします。

そこに、小物と半襟の色を明るい色にして、アクセントカラーのようでもあり、セパレートカラーのように用います。

 

 

【問題A 臙脂×紺】

この着こなしに当てはまるのはどちらでしょうか?

 

1.色相は類似の調和、トーンは対照性の調和

2.色相は対照の調和、トーンは共通性の調和

 

 

【解説A】

着物は臙脂色の地色(赤紫24〜1番)

袴は濃紺(青18〜19番)

互いに対照色相

(*ただし、袴の青にはやや赤みがあるので、色相のコントラストは補色のように正反対のものではない)

 

着物の地色は濃い色調(dpトーン)

袴は暗い色調(dk トーン)

しかも共に暗清色なので共通性が感じられる。

 

【答えA】

2.色相は対照の調和、トーンは共通性の調和

 

 

 

 

【問題B 朱色×常磐緑】

この着こなしに当てはまるのはどちらでしょうか?

 

1.色相は類似の調和、トーンは対照性の調和

2.色相は対照の調和、トーンは共通性の調和

 

【解説B】

着物は朱色が地色(3番黄みの赤)

袴は緑(12番)で対照色相

 

【答えB】

2.色相は対照の調和、トーンは共通性の調和

 

 

同上【海老茶×深緑】

この着こなしに当てはまるのはどちらでしょうか?

 

【問題C】

1.色相は類似の調和、トーンは対照性の調和

2.色相は対照の調和、トーンは共通性の調和

3.色相は類似の調和、トーンは共通性の調和

 

【解説C 若紫×薄紅】

着物の色は若紫色(色相-紫、22番)

袴の色は薄紅色(色相-赤紫、24番)

 

【答えC】

3.色相は類似の調和、トーンは共通性の調和

 

 

問題C「若紫×薄紅」の配色は、洋服の着こなしルールを着物に持ち込んでいます。

それは、色相が類似だからです。

「色は華やかだけど、配色としては地味」

になってしまっています。むしろ着物は

「色は地味だけど、配色は派手」の方がしっくりくるものです。

 

若紫よりも、紫根色(しこんいろ)

薄紅よりも、臙脂(えんじ)

のように、一色としてはやや落ち着いた色ながら、色の組み合せにコントラストを付けたり、

若紫や薄紅などは小物として効かせるという方が美しいのではないでしょうか。

 

 

 

 

日本初の色彩の商標登録2「セブン-イレブン」

「トンボ鉛筆」と同時に登録された日本初の色彩商標は、セブン-イレブンの「白地にオレンジと緑、赤のストライプ」の配色デザインです。

看板などによく使われ、街のあちこちで見かける、親しんだ配色ですね。


この色の組み合わせは、人の気分をどことなく、ウキウキと、楽しくさせてくれるのではないでしょうか。ある種の高揚感さえ感じさせてくれます。

 

さて、改めて色彩の意味、配色の意味を探ってみましょう。

 

【ビビッドな赤】の効果

1.目立つ色(誘目性が高く、どこにいてもセブン-イレブンが目に入ってきくる)。

2.美味しそうに見える(赤×白のテーブルクロスの例のように、食欲を刺激する色である)。

3.高揚感のある色(店舗に入らせる、買い物をする、という活力をそそぐ色のパワーがある)。

4.嗜好性が高い。赤を嫌いと思う人は少ない。

 

【ビビッドな橙】の効果

1.欲望や物欲など「欲」と関連がある。欲求不満で何か欲しい時、人は「橙色」に惹かれる。つまり、衝動買いをイメージさせる色。

2.明るく晴やかな気分にさせる色。

 

【深みのある緑】の効果

1.自然や安全を連想させる色。

2.赤とは補色関係になり、互いの色を引立てる。

 

 

【白】の効果

1.清潔感がある

2.ビビッドな3色が、白のセパレーションカラーを介して、それぞれ最大限に踊っているように見えます。

3.嗜好性が高い。嫌いな人はいない色。

 

**

 

暖色:赤と橙の2色。

寒色:ナシ(★緑は寒色ではありません)

中性色:緑の1色。

 

以上、注目したいのが、寒色を用いていない点です。

 

カラフルな配色を考えるとき、ブルー系を入れたり、赤紫系(ピンクを含む)を入れたりする事が多いのですが、セブン-イレブンの配色は「寒色を用いない=青い要素を含まない」という特徴があります。

 

青は、心が沈む感じ、エネルギーが高まらない色であり、お財布の紐をきゅっと締めてしまいかねません。

理性的な色である点からも、衝動買いの効果が無いのです(青の補色であるオレンジ色は、最も衝動買いをイメージさせる色)。

 

 

 個人的な意見では、数あるコンビニ・チェーンの中でも、「セブン-イレブンの配色」がNo.1だと思っています。

 

 

さて、他のコンビニ・チェーンの配色も見ていきましょう。

 


ローソンの看板、ロゴマーク
ローソンの看板、ロゴマーク

ローソンのマークは、アメリカ合衆国の牛乳屋「ローソン」に由来があるようです。牛乳屋さんであったために、ロゴにはミルクが描かれています。

爽やかな青と白で、「新鮮な乳製品、ミルク」を連想させます。

 

空が美しいところでは、爽やかな印象がとても好感が持てますが、街並がゴチャゴシャした都会では、セブン-イレブンの配色に比べて「ウキウキ感」は少ないように思います。

ブラウン系のローソンは高級感が漂います。

 

茶色

1.茶色は高級感がある色。

2.お腹が空くと綺麗に見える色。

 

 

 

1.清潔感など効用多数。

2.茶色の高級感を薄める役目(何万もお金を使う高級店ではないため、白と組み合わせて、高級感を、ほどほどに保っています。

 

 

日本初の色彩の商標登録1「トンボ鉛筆」と後悔の念

トンボ消しゴム「青×白×黒」色彩の商標登録
トンボ消しゴムMONO「青×白×黒」

【色彩の商標登録】という言葉を聞いたことがありますか?

 

2017年3月1日、経済産業省は、企業・商品などのブランドを象徴する「色」や「色の組み合わせ」の商標登録を始めました。

色彩以外にも、図形や音も登録の対象となっています。

 

その第1号として、数ある申請のなかから選ばれたのが、トンボ鉛筆の消しゴムの配色です

 

トンボ鉛筆の消しゴムの本体を巻いている紙製ケースの3色「青・白・黒のストライプ」の組み合せは、1969年発売されて以来、48年もの間、その姿を変えることなく、親しまれてきました。日本人なら、誰しも1度は目にし、手にした配色でしょう。

 

これだけ、長く愛され続けたからには、それなりの理由があるはずです。

 

改めて、3色の色の意味を掘り下げてみました。

 

【濃い青】

◯青は、向上心や勤勉さを示します(実際に向学心がある時は、青に惹かれるのです)。消しゴムを使って勉学に勤しむ時の心情とピッタリです。

◯弛緩的(ゆるむ感じ)の暖色に対し、寒色の青は、ぴしっとする緊張感があります。爽やかな、明るい青ではなく、濃い青であるため、緊張感の効果が大きいのです。

 

【白】

◯清潔感があります。真っ白は、綺麗に消せますというイメージです。

◯(深層心理と色の関係から)人は何かを後悔する時、白に惹かれます(★後で解説)。

 

【黒】

最も重い色なので、堅実で安定感があります。

◯黒、青との組み合わせで明快なコントラストです。

 

【黒×白×青】

明快な配色が、キリッとした緊張感が生まれます。

 

 

(★)

私たちが、消しゴムで何かを消す時、指は、白い部分に触れて、視線は白を中心に見ているでしょう。

「白」は深層心理的には、後悔、自分のしたことを無かったことにしたい気分の時に、欲する色彩だと言われています。

文字を消しながら、自分のした事(例えば、間違った計算の結果)そのものを消し去れることが、長く愛され続けている理由の1つかもしれません。

 

物理的にも消すだけでなく、心理的にも、綺麗さっぱりと消し去ってくれるイメージなのですね。

 

これは、計算違いのような小さな後悔に限らず、もっと大きな後悔の念に苛まれる時にも同じ効果があります。後悔して、白い服を着てしまう、ということになるのです。

 

 

 

 (次のブログ)もう1つ、トンボ鉛筆のカラーデザインとともに、商標登録された、国民的なカラーデザインがあります。


今も団十郎茶の伝統が息づく

市川団十郎 団十郎茶
五代目団十郎茶の演目「暫(しばらく)」

江戸時代に流行した茶色の色名に「団十郎茶」というのがあります。歌舞伎役者 市川団十郎に由来するもので、市川団十郎の二代目が演目”暫(しばらく)”で身に付けた素襖(衣装)に由来します。

 

成田山新勝寺 節分会 団十郎茶
平成29年成田山新勝寺の節分会(デイリースポーツより)

 さて、先日、成田山新勝寺で2017年節分会で、豆まきが行われる光景がニュースになっていました。市川海老蔵氏の裃の色こそ、伝統的な団十郎茶でした。

団十郎だけではなく、市川家の伝統的な色になっているのです。

 

茶系統の色は色の範囲も広く、色名も数多いのですが、団十郎茶は、一言でいうと「赤っぽい茶色」になります。

和の色名〜着物編〜

鴇色(ときいろ)・・ピンク全般。

韓紅花(からくれない)・・ビビッドな赤。彩度の高い赤。

蘇芳(すおう)・・落ち着きのある赤。

鳶色(とびいろ)・・茶色に近い。

◯柑子色(こうじいろ)・・柑子みかんの色。黄みの橙

◯代赭色(たいしゃ)・・赤みを帯びた、暗めの橙色

◯鬱金色・・こってり黄色

◯刈安色・・すっきり黄色

◯黄葉色・・彩度高めのすっきり黄色

◯海松色・・暗い黄緑色。オリーブグリーンの和名版。海松(みる)とは海草のこと。

◯鶸色・・明るい黄緑、かなり緑みを帯びた黄色

◯緑青・・「ろくしょう」と読む。色相は青緑ではなく、緑色。

◯鉄色・・暗い青緑系全般をさす。

◯縹色・・青色全般

※江戸時代は「青」より「はなだ」という色名の方がよく用いられた。

◯納戸色・・くすんだ青系全般

◯新橋色・・明るい緑みの青

◯藤色(ふじいろ)・・明るい青紫系全般。

 

◯銀鼠・・シルバーグレイ

◯利休鼠・・緑系の無彩色

◯煤竹色・・茶色とグレイの中間の色

色を際立せるルール「紺丹緑紫」

補色 
四天王、多聞天の補色配色

色をド派手に見せるには、正反対の色を並べるのが基本ですね。このことを一番良く知っていたのは、古(いにしえ)の人々でした。

なぜなら、人工顔料も、化学染料も無い時代、好き勝手に華やかな色、高彩度の色を得ることは難しく、そのために、もっとも引き立てあう色の組み合せを、人々が経験から学んでいったからでしょう。

 

 

例えば、奈良時代の仏教彩色について

 

紺丹緑紫(こんたんりょくし)と呼ばれる色の原理があります。

 

使われた色の基本は5色

◆紺(こん)・・群青色

◆丹(たん・に)・・橙色

◆緑(みどり)

◆紫・・臙脂(えんじ)

◆朱(しゅ)

 

 この5色は当然ながら、2組の補色より成り立つ配色でした。

◆緑(PCCS12番)と臙脂系のピンク(PCCS24番)

◆群青(PCCS18番)と丹(PCCS5番)

とそれぞれ補色関係のペアで成り立っています。

(色相差は色相番号12差が最大でこれを補色という)。

 

今は地味に思える寺院の中には、創建当時は、度肝を抜く彩色のものが多くありました。

次は、有名な奈良の東大寺の大仏殿を復元したものです。

 

東大寺大仏殿の復元彩色 補色
東大寺大仏殿の復元彩色
宝相華
八角堂天井の宝相華

これは、大仏殿を下から見上げたときの彩色です。

これらの色は、決まった色の呼び名があります。

 

◆赤(黄みがかった赤)・・

◆緑・・・・緑青(ろくしょう)

◆ピンクっぽい赤・・・臙脂色(えんじいろ)

◆青・・・紺(こん)、群青(ぐんじょう)

◆橙っぽい色・・・丹(たん)

 

 

繧繝彩色(うんげんさいしき) グラデーション配色
繧繝彩色(うんげんさいしき)というグラデーション模様

◆一番左

群青、紺のグラデーション

 

◆左から2番目

丹のグラデーション

 

◆左から3番目

緑青のグラデーション

 

◆左から4番目

臙脂色のグラデーション

 

※グラデーションのことを日本では繧繝彩色(うんげんさいしき)と言います。

 

 

 

西洋で色相環や補色という考え方が生み出され、印象派やロマン派の画家たちが、その影響を受けましたが、その1000年以上も前から、日本では、色相環などという考えは無かったものの、経験的に互いを引立て合う色を知っていたのです。

東大寺の柱頭にある文様 
東大寺の柱頭にある文様

お正月の配色「◯×◯×◯」

年末になると、街のポスターが、クリスマス配色の「赤×白」「赤×黒」から→ 

正月を連想させる「白×赤×黄」の配色にお化粧直しされます。

例えば、NHK紅白歌合戦のポスターや、箱根駅伝のポスターが、ことさら目をひきました。

 

それらは「白×赤×黄」の色の組み合わせで、各色はそれぞれ次のような意味を持っています。

◆晴れの日(特別の日)の「赤」

◆神聖で厳かな「白」

◆豪華な「金」

 

 

「日の丸の配色」に「金」がプラスされた組み合せですね。

 

NHKの紅白歌合戦の配色は毎年変わることなくこの定番の配色です。

 

さらに、3色の強弱(面積比)に注目しましょう。

常に白が最も大きな面積であることも特徴的です。

 

◆赤の面積が大きいと・・めでたい感が増します。目を引きます。

◆金の面積が大きいと・・ゴージャス感が増します。

◆白の面積が大きいと・・品の良さが強調されます。

 

 

一方

◆赤が大きすぎると・・品がなくなります。猥雑になります。

◆金が大きすぎると・・品がなくなります。重たい印象になります。

◆白が大きすぎると・・地味になります。インパクトがなくなります。

 

 

2016年NHK紅白歌合戦ポスター「白×金×赤」
2016年NHK紅白歌合戦ポスター「白×金×赤」。面積の順番は①白②金③赤
2013年NHK紅白歌合戦ポスター「白×赤×金」
2013年NHK紅白歌合戦ポスター「白×赤×金」面積の順番は①白②赤③金
箱根駅伝のポスター「白×金×赤」
箱根駅伝のポスター「白×金×赤」。面積の順番は①白②金③赤

この箱根駅伝のポスターの配色も

白・・ベースカラー

金・・アソートカラー

赤・・アクセントカラー

 

となり、華やぎと神聖さと御祝い感の具合いちょうどよく、まさに箱根駅伝にふさわしい調和です。

 

 

 

最後に「金色って何色か?」をご説明します。

 

金色を系統色名で表現すると「浅い黄みのブラウン」あるいは「濃い赤みの黄」

色記号ではdp7

になります。

 

「明るめの金色(色みが薄めの金色)」を用いることで、より洗練されたイメージになっているようです。

 

ラファエロという美

ラファエロ作「小椅子の聖母」
ラファエロ作「小椅子の聖母」

ラファエロの代表作の1つ。トンド(円形画)形式という丸い空間の中に、聖母子と聖ヨハネが押し込まれるように、配されています。何とも、暖かみのある作品ですね。

聖母マリアの配色は、青い衣が定番ですが、本作では異なっています。全体には赤・黄・青の三原色に近い色相が散りばめられています。特に、幼子イエスの黄色と洗礼者ヨハネの青が補色関係で接しており、全体としても緑→赤→黄→青がそれぞれ接しながら、順番に並んでいます。

中央に暖色、周辺に寒色系が配置されることで、真ん中に膨張色(進出色)が集まり、より立体的で丸みが強調されています。

1514年
直径71cm

板に 油彩

ピッティ美術館(フィレンツェ)


ラファエロ作「サン・シストの聖母」の一部
ラファエロ作「サン・シストの聖母」の一部

サンタクロースの「赤×白」配色は1931年コカコーラ社によって世界中へ伝わった!

サンタクロースの赤 コカコーラ
1931年キャンペーンビジュアル

「赤×白」のビコロール配色は、色だけを見ても「サンタクロース」を連想してしまうほど象徴的な配色です。

しかし意外にも、この配色が定着したのは、最近のことで、元々、サンタクロースのイメージは、国や地域によって大きく異なっていました。

 

全世界に共通のイメージを定着化させたのは、アメリカのコカ・コーラ社でした。

コカ・コーラは当初、麻薬(コカイン)や多量のカフェイン、アルコールが入っているという、暗くて、危険な飲料としてのイメージが強かったのです。そのマイナスのイメージを払拭し、子供市場を開拓するために、サンタクロースを起用したのです。

 

1931年(昭和6年)、クリスマスキャンペーン用の広告として、赤い服、白髭のサンタクロースが登場しました。そして、コカ・コーラの世界進出に伴って、このイメージも世界的に定着していきます。

 

 

サンタクロースの赤い衣装のルーツはコカコーラ
1949年のキャンペーンビジュアル

 

このコカ・コーラ戦略により、従来の神聖なサンタクロースに、温かみのある人間的な要素が吹き込まれました。

バラ色の頬、白いあご髭、笑い皺のある新しいサンタクロースです。

 

 

 

 

 

サンタクロースの赤い衣装のルーツはコカコーラ
1962年キャンペーンビジュアル

そもそも、サンタクロースはトルコの聖人、聖ニコラウスの事。聖ニコラウス=サンタ・ニコラウス= サンタ・クロースと呼ぶようになりました。

 

サンタの赤い服は、聖ニコラウスの司教の服の色で、司教の赤かったことに由来するという歴史もあります。

 

 

 

 

以下は、コカコーラがイメージを定着させる前の、紫や緑のサンタクロースです。今よりもやや細身で、厳かな印象ですね。

 



世紀末を象徴するシーレの茶褐色、橙(希望の光)と黒(死)

エゴン・シーレ「枢機卿と尼僧」
エゴン・シーレ「枢機卿と尼僧」

⇧緋色(ひいろ)の衣を着た枢機卿が、黒衣の尼僧に迫る、ショッキングなこの抱擁の絵は「エゴン・シーレ」という画家の描いた作品です。

「赤×黒の対比色」の周りを「シーレの褐色」が覆いつくしています。

 

エゴン・シーレは、19世紀末から20世紀初頭にかけて短くも濃密な時間を駆け抜けたウィーン生まれの画家です。

3歳のときに姉を亡くし、14歳のときに父を梅毒で亡くしました。

少年期のこの体験は、彼の心象に深い影を落とし、「生と死」「性(エロス)」は、彼の終生のテーマとなります。

 

シーレは同じ世紀末に活躍していた「ウィーン分離派」の巨匠クリムトに出会い、多くの影響を受けます。

2人に共通なのは、ウィーン、世紀末、エロスでしょうか。

 

しかし、色彩は異なります。

クリムトが、「輝く黄色と華麗な色彩」でエロスの世界を豊穣に描いたのに対し、シーレは、褐色や、黒灰色の男女の肉体が、抱擁しあう姿を執拗に描き続けました。

 

 

  

エゴン・シーレ作
エゴン・シーレ作
エゴン・シーレ「自画像」
エゴン・シーレ「自画像」

シーレにとって、黒と茶褐色は「死」を象徴する色でした。

 

次は、シーレの言葉です。

◯美しいものを形にし、色彩の野原を作りたい。

◯1コのオレンジがただひとつの救いだった。

◯ぼくが眠っている場所の絵を描いた。不潔な灰色の毛布の中央にヴァリー(恋人の名)がもってきた鮮やかなオレンジが1個置かれている。ただひとつ輝く光だ。この小さなアクセントは、ぼくをたとえようもなく幸せな気持ちにしてくれる。

 

オレンジ色は「光の色」であり、絶望の人生の中で、燦々と光輝く色。そして「欲求不満の色」ですね。

 

黒褐色の色相はオレンジ色です。オレンジが煮詰まった先が褐色なのでしょう。オレンジ色は「これが欲しい、あれが欲しい、しかし手に入らない」という心境の色。

もしかしたら、シーレは「死を渇望、死を欲求していたのでしょうか?」

 

 

もうひとつ、ヒミツの色の講座・・

 

色の深層心理では、「黒×茶色」に執拗にこだわる人は、幼少期、極度の孤独などを経験し、その影響で、大人になっても、その欠落を埋めようと、性格的に問題(例えば、万引きを繰り返すなど)を抱えてしまう場合がある、という報告があります。

実は、このことは、人権上の問題で、あまり公にはされません。

 

色の研究が発達したドイツなどでは、面接官がこのことを考慮する事もあるそうです。

 

「黒×茶色」はおしゃれでモダンな配色ですが、「執拗にこだわる」のが問題です。

 

フランスの偉大なデザイナー、ココ・シャネルは、デビュー当初「黒×茶色」の配色をこよなく愛しました。彼女は幼少期、母が病死、父に捨てられ、孤児院で孤独に過ごしたことは有名ですね。

 

 

 

エゴンシーレ
シーレ作「自画像」
エゴンシーレ
シーレ作

クリムト
クリムト作「接吻」1907年

偽りの色彩をきっぱりと拒絶する

マティス「赤のハーモニー」
マティス「赤のハーモニー」

マティスの代表作

◆1908年「赤い部屋(赤のハーモニー)」について◆

 

 

このマティスの代表作は、180cm×220cmという大きな作品で、画面の大半を「赤色」が占めています。赤のもっているエネルギーが絵を見る者に、降り注ぐような作品です。

 

本物を見て、「赤の力を生で感じる」のが一番ですが、それが不可能なら、ここではマティスの考え抜いた色の調和を分析してみましょう。

 

 

主調色は赤

①室内の壁、テーブルの敷物、すべてが赤く塗りつぶされている。

 

赤と緑が反対色相

②それらの赤が、窓枠の外の緑と対比色になっている。

 

 

橙と青が補色色相

③窓枠のオレンジと、女性とアラベスク模様が対比色になっている。

 

 

しかし、強烈な色の衝突ながら、

 

共鳴しあう色

③橙の窓枠と、赤と緑の中間に当たる黄色が、点在していて窓の外と中に描かれていて、それほど強烈さを感じさせない。

 

④アラベスク模様と、庭木、空の色は、青同士で共鳴している。

⑤遠景の小屋と、窓の縦枠は、橙同士で共鳴している。

⑥椅子の色と、窓の横枠は、黄色で共鳴している。

 

マティスの絵画は、室内の遠近や、造形とは全く関係なく、赤を中心にした色彩自身が自己主張をして、絵の全体を調和に導いているのです。

 

◆◆

アンリ・マティスは20世紀を代表するフランスの画家で「フォーヴィズム」の中心的存在です。フォーヴィズムは野獣派と呼ばれ、大胆な色彩の用い方が特徴です。

 

マティスがダイナミックな色彩を得るまでの経緯は、どのようなものだったのでしょうか。

 

①マティスは1898年、コルシカ島で、ポール・シニャックの著作「ドラクロワから新印象主義」を読み「純粋な色彩」に開眼。

 

マティスは1901年「ゴッホ回顧展」で「色彩による感情表現」に感銘をうける。

 

③後期印象画の画家セザンヌの「色彩による造形」を学ぶ。

 

これらの19世紀の印象派の画家たちに加え、 マティスは師ギュスターブ・モローの次の考えを受け継いだのです。

 

「色彩を考え、

それについての想像力をもたなくてはならない。

想像力を欠くなら、美しい色彩を出すことは決してできない。

想像力をもって、自然を描写しなくてはいけない。

色彩は考えられ、夢みられ、想像されなければらならない。」

 

その結果、マティスは絵画の「平面性を重視し、純粋な原色によって対象物を捉え、その生命力や精神性を『色彩』によって表現すること」を発見します。

 

 

「フォーヴィズム」という絵画運動は、偽りの色彩をきっぱりと拒絶することから、始まって、強烈で知覚しやすい色彩を用いることになります。

 

 

”色”の基本に立ち戻ってみる。

【問題A】

次の4つの中で仲間はずれの言葉を1つ選びましょう。

 

①赤

②ピンク

③黄

④青

 

 【解説A】

赤は、ピンクや赤茶も含めた色相名、

ピンクは明るい赤のこと、

黄は、色相名、

青は、色相名。

 

【答えA】

②ピンクが仲間はずれ。

(ピンクのみ色相名ではない)

 

 

 

【問題B】

次の4つの中で仲間はずれの言葉を1つ選びましょう。

①オリーブ色

②レモン色

③カナリア色

④ピンク

 

【解説B】

①オリーブ色は暗い黄色

②レモン色は

③カナリヤ色は明るい黄色

④ピンクは明るい赤

 

【答えB

④ピンクが仲間はずれ

(ピンクのみ赤系、他はすべて黄系)

 

 

 

【問題C】

次の4つの中で仲間はずれの言葉を1つ選びましょう。

①ベージュ

②ラベンダー

③モーブ

④バイオレット

 

【解説C】

②③④は青紫系

 

【答えC】

①ベージュが仲間はずれ

 

 

 

 


トランプvs クリントン米国大統領選

米大統領選 クリントン トランプ
米大統領選、直接対決

 

2016年9月26日、アメリカ大統領選に向けた第1回テレビ討論会が行われました。

国民が直接投票する米国の大統領選は、視聴率が40%を超えることもある注目度です。

「何を語るか」もさることながら、それ以上に、立ち振舞、ファッション、一瞬の表情、しぐさで印象が左右され、文字通り、命がけのイメージ戦略で臨みます。

 

2人が壇上に登場し、まず目を引いたのが「ヒラリーの赤」vs「トランプの青」。

星条旗の2色を分け合い、それぞれの色を味方に、明確なメッセージを発信していたのが印象的でした。

まず、民主党のヒラリー・クリントン候補の最大の懸念要因は「健康問題」。

真っ赤なパンツスーツと、真っ赤な口紅で、「強さ」「たくましさ」を演出。「病気」のイメージを色彩のエネルギーで払拭しています。

 

一方、共和党ドナルド・トランプ候補は、過激な発言で、熱狂的な支持者も多いものの、「危険な男」「クレイジー」と彼の政策に不安を抱く人も多いようです。

彼は明るいのネクタイで、「落ちつき」や「冷静さ」という、イメージを演出しているのです。トークも、トランプ氏にしては、抑えめだったようです。

 

つまり、パワーの赤、冷静さの青という、互いに自分に足りない要素を「色彩のパワー」で見事に補っていたのです。

  

 

 ***

 

Q.さて、最初に大統領選のテレビ討論会が行われたのはいつだか知っていますか?

A.1960年、民主党のケネディ候補と 共和党のニクソン候補の対決が最初でした。この時初めて、アメリカ国民と大統領候補者は、テレビ効果の怖さと、見た目の大事さを知ったのです。

  

「ラジオを聴いていた人はニクソン氏、テレビを見た人はケネディ氏が勝ったと思った」と当時言われました。

ニクソン候補は、テレビ用の化粧すらしていなかったのです。ネクタイが云々と悪評でした。

 

そして、結局、テレビ討論を制したケネディ氏が勝利し第35代大統領になりました。

テレビ討論会の威力の大きさに、以降、大統領候補者たちは、テレビ討論会を敬遠することになります。その後、テレビ討論会は76年まで実現しなかったのです。

何万字の政策よりも、1秒の見た目が大切なことを、世界中に示した1960年のテレビ討論会でした。

 

 

トランプ&クリントンの第2回テレビ討論会も注目していきたいです。 

 

 

 

リオ・オリンピック400メートルリレーとチャイニーズレッド

今回のオリンピックは、日本人選手の活躍もあり、TVで試合を観賞される機会が、いつもの大会と比べて多かったのではないでしょうか。種目別で見ると、その種目を長年、得意としている国が存在しますよね。例えば、卓球は中国の御家芸です。

中国人選手のチームカラーは、チャイニーズレッド。中国の赤とは、朱色のことです。日本の神社の鳥居に塗られている赤色顔料と本質的には同じです。

天然の鉱物は、中国の辰州(現在の湖南省)から良質なものが産出されたため、辰砂(しんしゃ)とか、チャイニーズレッドの色名で呼ばれます。

色名としては、14世紀には既に、辰砂をあらわすシンナバーやチャイニーズバーミリオンという色名がありました。チャイニーズレッドの名は、そのイミテーションに付いた色名で、19世紀頃から使われています。

 

さて、日本的な赤と、中国の赤を比べてみましょう。

たぶん、何度もご覧になった男子陸上400メートルリレーの決勝のシーンを思い出したいですね。

1.日本の赤の方が、やや黄みを帯びた赤です。

2.中国の赤の方が、若干、黒の要素を含んでいます。ほんの少し黒を含んでいるところが、どことなくアジアンな印象の赤になっています。

 

アジアンの赤は「中間色の赤」と「純色の赤」と「暗清色の赤」のちょうど間のような中途半端な色調です。PCCSではsトーン(ストロングトーン)になります。

vトーン(ビビッドトーン)とdpトーン(ディープトーン)と bトーン(ブライトトーン)のちょうと間になりますね。

 

ユニクロのロゴの赤も、アジアンな印象ですね。